酒ソムリエ・赤星慶太に聞く「鷹ノ目」の魅力を引き出す味わい方
長い歴史と伝統を誇るワインは、作り手のこだわりはもちろんのこと、できあがったワインを味わう際にも愛好家やソムリエなどのプロによって、より良い方法が模索され、進化してきた。
妥協を許さず作られている日本酒「鷹ノ目」もまた、その魅力を最大限に引き出すための味わい方を日々探求している。
そこで、今回はワインソムリエであり、唎酒師の資格を持つ酒ソムリエの赤星慶太氏に、保存方法や飲む際におすすめの温度、グラスの形など「鷹ノ目」をより楽しむために知っておきたいことをうかがった。
日本酒の奥深さはまずワインを知ることから
日本の若者世代はもちろんのこと、世界からフィーチャーされつつある日本酒。その背景にはワイン文化があることが大きいという。注ぎ方などの技法の前に、知識を持っておくだけで、味わい方が変わってくる。
「日本酒を学びたいといって僕の元を訪ねてくる方には、まずワインを勉強したほうがいいと伝えています。ワインの素晴らしさがわかれば日本酒の複雑さや奥深さがわかります。なぜかというと、数ある酒のなかでワインと日本酒だけは自然界でできる醸造酒なんです。ほかの蒸留酒などは、簡単に言うと人の手が加わっています。
面白いことに、ワイナリーを訪ねると日本酒の酒蔵と同じような香りを感じられるときがあります。原料は葡萄とお米で違うのですが、それが酵母の力です。ワイン酵母で日本酒を作ることも、その逆もできます。
そういった共通項を知ると、日本酒の問題点も見えてきます。
フランスではワイナリーが作りだした味を守るため『AOC(Appellation d'Origine Controlee)』という組織があり、国を挙げて品質が管理されています。
一方、日本酒ではお店独自のやり方で、日本酒に違うお酒を混ぜたり、調味料をふったり、何かで割ったりすることがあります。それは決して悪いことではありませんが、なぜ僕がしないかというと、ワインのあり方を基本としているからです。
そのように考えていくと、『鷹ノ目』などの香り高い日本酒をワイングラスで飲む良さを本当の意味で理解できるようになると思います。原点を知れば、自然と飲み方は変わっていくものです」
料理とのペアリングでグラスを変える
続いて「鷹ノ目」の魅力を味わうためのグラスについて教わった。
「単体で飲む場合は小ぶりで底が丸いグラス。さらにうすはりで、口がすぼんだものがおすすめです。グラスを傾けてから口に入るまでのスピードを僕は『対流スピード』と呼んでいますが、そのスピードもあり、一旦すぼんだところで香りがたまるので、香りが強くなりすぎず、味も香りもバランスよく楽しめます」
すっきりした白ワインなら薄くて背が高いグラス、芳醇な赤ワインなら丸みのあるグラス…という考え方もあるが、これからはもっと「料理とお酒」の組み合わせが重要になってくる。特に鷹ノ目に関しては、料理に合わせてグラスを選ぶというのが良いそうだ。
「タコのカルパッチョにフルーツビネガーとオリーブオイルを合わせ、フルーツを載せたさっぱりしたおつまみに合わせるならシャンパングラスで。スッと入って飲みやすく、すっきりとした味に感じます。また、『鷹ノ目』の甘酸っぱさは酢豚などの中華料理にもよく合います。その場合は、平盃のような大きい器などで、ゆっくりとすすりながら飲んでいただく。そうするとより複雑な味わいになり、濃い味の料理によくあいます」
日本酒は生き物、なるべく変化をさせずに保存を
グラスに注ぐ際のコツや、最適な温度についてもうかがった。
「注ぐ量はグラスの半分以下にして、ゆっくりと注いでください。『鷹ノ目』は5~6℃くらいがおすすめなので、冷えたものを少しずつ飲むのがいいですね。多く注ぐと温度が高くなってしまいます。温度があがるほど、甘みとうまみがぐっと強く出て好みが分かれてくるかと思います。何度も飲んでいる上級者の方は一度試してもいいかもしれません。
一番よくないのは冷蔵庫の扉のポケットの部分です。開け閉めをするたびに10度ほど温度が変わってしまい、余計な振動を与えるのも良くありません。日本酒は生きていますから。専用の冷蔵庫などで開閉をしないのなら良いのですが一般的には難しいと思うので、それなら日の当たらない冷暗所で動かさないように静かに置いておくほうがいいですね。飲む前に冷蔵庫にいれて、5~6℃まで冷やしてから飲んでください。
熟成する場合も冷暗所で1~2年かけて置いておくとまた味に深みが出てきます」
▲赤星 慶太 高校卒業後、ワインに魅せられてソムリエスクール入学。ワインソムリエと唎酒師免許を取得。1998年、地酒のインポーターとして渡米後16年間ニューヨークを拠点に活動。有名ステーキハウス「Empire Steak House」のセレクションに日本酒を採用させるなど、数々の酒メニュー、ワインメニューをコンサルティングする。2009年、地酒プロモーションを続ける傍ら「Sake Bar KIRAKUYA」をプロデュースし、自ら酒ソムリエとしてサーブする。2015年4月自らの店をオープンするため帰国。現在は西新宿に「日本酒バル AKA-KUMA 」と「別邸赤くま」を構える。
日本酒バル AKA-KUMA
料理と日本酒のペアリングに特化した日本酒バル。「鷹ノ目」をはじめ、常時250種以上の日本酒がそろう。
住所:東京都新宿区西新宿7丁目 15-17 東光ビル 1階
営業時間:17:30~23:00(L.O.22:00)
定休日:日曜日・月曜日
電話番号:03-5937-2485
HP: https://akakuma-sake.com
TAKANOME(鷹ノ目)開発の背景
F1のレーシングカーを作るとき、コストを考えながら車を作ったりはしない。とにかく速さのみを求めてその時代の最高の車を作る。TAKANOME(鷹ノ目)の開発もいわばレーシングカーを作るかのようにとにかく「うまさ」のみを追求するとの信念のもと、幾度にも及ぶ試行錯誤の上で完成した、極上の日本酒。
<販売日>米作りからラベル貼りまで、全て「手作業」によって造っているため、生産量が限られています。ご迷惑をお掛けしますが、週に1度のみ(毎週水曜21時〜)数量限定で販売いたします。
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Text: Mihoko Matsui
Photo: Mayumi Komoto
Structure: Sachika Nagakane