最強タッグが作り出す至高の味覚体験 /『クラージュ』シェフ・古屋聖良、オーナー・相澤ジーノ

最強タッグが作り出す至高の味覚体験 /『クラージュ』シェフ・古屋聖良、オーナー・相澤ジーノ

街に賑わいがもどり、人の交わりや食の楽しみがもたらす高揚感を改めて感じさせられる現在。若く瑞々しい感性が生み出す料理と、熟達したサービスマンによる絶妙なホスピタリティで話題を呼んでいるのが、東京・麻布十番の『クラージュ』だ。美食家や上質を知る大人が足繁く通うエリアで独自の個性を放ち、多くの客を魅了する二人が理想とするレストランの形とは。

 

 ▲古屋聖良/『クラージュ』シェフ
東京生まれ。大学卒業後、調理専門学校を経て、東京・神保町の学士会館に料理人として勤務。2016年には「サンペリグリノ ヤングシェフ」日本代表に選出。その後、オーストラリアの『Brae』での勤務を経て、’20年に『クラージュ』のシェフに就任。’22年には『ゴ・エ・ミヨ』にて「期待の若手シェフ賞」を受賞。

 

 ▲相澤ジーノ/『クラージュ』オーナー
1980年代より東京で飲食業に従事。『イル テアトリーノ ダ サローネ』『81』『下鴨茶寮』など、いずれも個性が光る人気店のマネージャーを務めた後に独立。2018年に“食のみならず五感で楽しめる空間”をテーマに『クラージュ』をオープン。ワインのみならず日本酒とのペアリングも積極的に提案している。

 

戻ってきた食の楽しみを、再確認できる場として

美食の国・フランス発の本格レストランガイドとして、『ミシュランガイド』と双璧をなすのが1969年創刊の『ゴ・エ・ミヨ』だ。“食べる喜びと感動を伝え、食における新しい出会いを創出すること”というステートメントが示すように、本書は料理の味やクオリティはもちろんのこと、店の雰囲気やサービスも評価の対象としている。東京・麻布十番に店を構える『クラージュ』のシェフ古屋聖良氏は、その『ゴ・エ・ミヨ 2022』において「期待の若手シェフ賞」を受賞した、今最も注目される女性シェフのひとり。古屋氏のフレッシュな感性から生み出される繊細かつ洗練された料理に、伝説のサービスマンと呼ばれる相澤ジーノ氏がフロアを華やかに盛り上げるスタイルで、他では味わえることのない味覚体験を提供している。


「延べにしたら、もう30年近く飲食に関わる仕事をしています。最初はディスコとかイベントだとか、若いこともあって『なんて楽しくていい職場だろう』と思ったのがこの世界に入るきっかけです。そのうちレストランでサービスマンとして関わるようになってからは、お店に来るお客様が美味しい料理やドリンクを楽しんで、喜んでいる姿を見るのが快感になってきて(笑)。自分は食の喜びを謳歌する場を『作る側』にいるのだと改めて認識し、人を楽しませる魅力にだんだんハマっていったという感じです」(相澤)

「2020年からクラージュでシェフをやらせていただくにあたって、相澤さんから『こうしてほしい』というリクエストは特にありませんでした。お客様にお出しする料理に関しても、一緒に試食して意見を出し合ったりはするぐらいで、基本はこちらに任せていただいて、自由にやらせてもらっています。ただ、『いちばん大事なことはお客様に喜んでいただくこと』と、相澤さんが常におっしゃっていることだけは、必ず心に留め置くようにはしています」(古屋)

 

▲『クラージュ』での料理とのペアリングは、リクエストベースでお好みに応じて構成。相澤氏の接客は、ベテランらしい美しい所作に加え、機知に富んだトークも楽しいと評判に。

 

▲日本酒をサーブする際にはこの円柱型のグラスを選ぶことが多いそう。「『鷹ノ目』をいただいてみた第一印象は、ちゃんとした個性と主張があるなということ。フルーティな香りがまず立って、味わいとうまみがある。あとは温度帯によって味も微妙に変わってきそうなポテンシャルを感じますね」と相澤氏。

 

偶然の出会いが、奇跡のタッグをつくるまで

熟達したサービスマンと、新進気鋭の女性シェフ。その奇跡的な出会いは2018年に遡る。世界中の美食家が選ぶ「アジアのベストレストラン50」で4年連続首位に輝いたタイ・バンコクのレストラン『ガガン』のコラボディナーが東京で開催され、そこで偶然同じテーブルになった二人。お互いのことを話していくうちに、古屋氏がこのディナーの抽選に漏れたこと。でも『ガガン』の料理がどうしても食べたくてシェフに熱い想いを綴ったメールを送り特別枠で席がとれたこと。普段は学士会館で料理人として勤務していることを相澤氏が聞き、古屋氏の料理にかける情熱や、真面目でひたむきな想いに感銘を受けたことが、自分の店に彼女を迎え入れたいという気持ちに繋がったのだそう。

「個人的に、料理の世界は基礎がすごく大事だと思っています。和食とフレンチは特にそうで、基礎という引き出しを多く持つことによって、遊び心という変化球も活きてくる。最初から遊び心ばかりの料理は、たいがい美味しくないんです。長くこの世界にいるとわかるんですが『面白い』よりも『美味しい』が立っていないと、店は絶対に長くは続かない。古屋シェフに初めて会ったときは、彼女はまだ25歳ぐらいだったと思いますが、世界の『ガガン』に直接お願いのメールをするバイタリティと強運、さらに見た目とのギャップにまず驚きました。さらに聞けば、オーセンティックなレストランで修行してるとのことなので、基礎は間違いない。そこでなおさら僕の店のイメージにぴったりだと思ったんです」(相澤)

「もともとは銀行員を目指して大学も経済学部に通っていたのですが、いざ就活で動いてみたらなにかが違う。だったらもともと好きだった料理の道に進もうということで、調理師専門学校に入りました。卒業後は学士会館に6年勤務して、フレンチレストランから宴会までを担当し、基礎をみっちりと学びました。ちょうどその頃に相澤さんにお会いして、後に『クラージュ』で働くオファーもいただいたりしたのですが、当時は学士会館での勤務もあり、海外のレストランで修行もしてみたかったので、いったんはお断りしたんです。それからご縁があってオーストラリアのメルボルンのお店で働けることになったのですが、一年もしないうちにコロナ禍になってしまって帰国することに。そうしたら時を同じくして『クラージュ』のシェフもお辞めになったりと、すごいタイミングが重なって。シェフという大役をお引き受けしたというわけなんです」(古屋)

 

▲『鷹ノ目』とのペアリングをイメージした温前菜の「アワビの肝バターソース」。大根と昆布、酒と合わせて真空にした宮城県産のアワビは、4時間かけてゆっくりと蒸すことで柔らかな食感に。ソースは、アワビの肝を裏ごしし、クリームと魚の出汁を合わせて煮詰め、バターを加えたもの。合わせた春雨で食感を、上に添えた春菊とライムの皮で香りも楽しめる極上の一皿に。

 

日本の生産者とともに歩む、ガストロノミーの新たな未来

そうしてスタートした新生『クラージュ』は、店を訪れる人に繊細かつ美味しい料理を楽しんでもらうことに加え、日本各地の食材の生産者を大切にし、彼らが慈しみ育てた食材を積極的に料理に用いることも重要なポリシーのひとつとして掲げている。


「日本のさまざまな場所で、心を込めて作っていただいた食材を、どうしたら最上の状態で、かつ美味しさを引き出せるかが、料理人としての私のテーマです。まだそんなに多くの生産地を訪れてはいないのですが、最近では広島の『梶谷農園』さんにうかがって、いろいろと見せていただいたりしました。あとは北海道の別海町ともご縁があって、ふるさと納税の返礼品として『クラージュ』で別海町産の食材を使ったディナーを提供しています。日本各地から、自分がいいと思ったものを取り寄せて料理するということも、東京でレストランをやっている自分の強みです。これからも積極的に日本各地の生産者さんを訪ねて、新しい食材を取り入れたいですね」(古屋)

料理人の視点で料理とお酒のペアリングも提案できたらという思いから、現在、ソムリエの資格試験にも挑戦しているという古屋シェフ。『鷹ノ目』に合わせる料理として今回提案してくれたのは、バターの風味が香り立つ「アワビの肝バターソース」という渾身のひと皿だ。

「『鷹ノ目』は、パイナップルのようなフルーティな香りが特徴的なので、アワビの食味に加え、バターのコクとすごく合いそうな気がしました。最後にライムを添えて香りをミックスさせるのも面白いかなと。コクと爽やかな感じが混ざり合って、いいマリアージュを生むと思います」(古屋)

 

▲「フレンチに日本酒は意外だと思う方も多いかもしれませんが、酸の種類は似ているのでけっこう合うんです。うちは日本の食材をメインに用いていますし、合わせた一皿もアワビの肝が入ることで、磯の香りが堪能できる。日本の海を想像しながら召し上がっていただきたいですね」(相澤)


『ゴ・エ・ミヨ』で古屋シェフを知って店を訪れる人も多く、「せっかく選んでいただいたので頑張らないとと思う心構えが強くなった」とも語る古屋シェフ。相澤氏も、「お客様と帰りに握手やハグを交わして『美味しかった、楽しかった、また来るよ』と言われることをチームでやるのがレストランという仕事であり、社会的な役割でもある」と改めて力説する。赤を貴重とした華やかな店内は、シェフとサービスマンという最強のタッグが生み出すホスピタリティによる最上の味覚体験が弾ける場として、これからも熱いエネルギーを放ち続けていくに違いない。

 


レストラン インフォメーション

『クラージュ』

住所:東京都港区麻布十番2−7−14 1階
営業時間:月〜金曜日 17:30〜24:00(L.O.22:30)/土曜日 17:30〜23:00(L.O.21:00)
定休日:日曜、祭日、不定休
TEL:050-5595-4870
Instagram:@courage_azabujuban 

 

 

TAKANOME

F1のレーシングカーを作るとき、コストを考えながらマシンを作ったりはしない。とにかく速さのみを求めて、その次代の最高傑作を創造する。TAKANOME(鷹ノ目)の開発も、いわばレーシングカーを作るのと同じこと。「うまさ」のみを追求する信念のもと、幾度にも及ぶ試行錯誤の上で、極上の日本酒が完成した。

<販売日>原料の米作りから製品のラベル貼りまで、全て「手作業」によって行っているため、生産量が限られています。ご迷惑をおかけしますが、週に一度のみ(毎週水曜21時〜)、数量限定で販売いたします。


飲む前に知ってほしい鷹ノ目の開発ストーリーはこちら
鷹ノ目のご購入はこちら

 



Text:Satoko Hatakeyama
Photos:Masaru Miura
Composition:Sachika Nagakane

 

 

 

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