「TAKANOME海底熟成」の多様さが熟成酒の世界を切り拓く 酒ソムリエ・赤星慶太
透明度が高く、手つかずの美しい自然が残る「ヒリゾ浜」。
渡し船でしかたどり着けないことから、秘境ともいわれるこの地でTAKANOMEは静かに、ゆっくりと進化を遂げた。同じ酒、同じ海であっても、その微妙な波の揺らぎの違いによって、味わいが変わる。
『TAKANOME海底熟成』はそれぞれに特徴の違う『Milky Way (天の川)』『 Edo no uzu(渦潮)』『Diamond Fuji(ダイヤモンド富士)』『Sea of Clouds(雲海)』『Undersea Temple(海底神殿)』の5種が生まれた。味わいの特徴についてはテイスティングノートをご一読いただきたい。
今回は、この5種を日本酒のペアリングで名高い、赤星氏に飲み比べてもらった。
▲赤星 慶太 高校卒業後、ワインに魅せられてソムリエスクール入学。ワインソムリエと唎酒師免許を取得。1998年、地酒のインポーターとして渡米後16年間ニューヨークを拠点に活動。有名ステーキハウス「Empire Steak House」のセレクションに日本酒を採用させるなど、数々の酒メニュー、ワインメニューをコンサルティングする。2009年、地酒プロモーションを続ける傍ら「Sake Bar KIRAKUYA」をプロデュースし、自ら酒ソムリエとしてサーブする。2015年4月自らの店をオープンするため帰国後「日本酒バル AKA-KUMA 」と「別邸赤くま」を構える。風味を言語化する日本酒ソムリエAI「KAORIUM for Sake」の監修を務め、現在は日本酒の魅力を広める活動を行う。
まろやかなジューシーさが特徴
今回のTAKANOMEは海で半年間、冷暗所で1年熟成したものだ。
「瓶内熟成いわゆる『生熟』ってやつですよね。生で熟成させるっていうのは、酵母が活性化するのでリスクが大きいんです。温度があがってしまうとほんとうにだめになるので。適正な温度で熟成させるのは面白い試みですよね」。
元のTAKANOMEの味わいも知り尽くした赤星氏に、この熟成の味わいはどう感じられたのだろうか。
「酸の出方がちがいます。オリジナルのTAKANOMEはわかりやすいフルーティーさ、酸みがありますが、まろやかな丸みが出たうえで酸があるので、そこが面白いところですね。
香りは大きな変化はなく、TAKANOMEの香りが残っているのがすごいですね」
酸があるというのは、単純に酸っぱいという意味合いではなく、フレッシュなジューシーさがあるということだそうだ。初めて熟成酒を飲む方にも、おすすめできるという。
5つの味わいの違い
続いて、5種類の味わいを比べてもらった。すべて味わいは違うとしつつも、香りには統一性があるという。それこそが、このTAKANOME海底熟成の特徴といえそうだ。
「もとが同じTAKANOMEなので、香りはすべて統一されていますね。ほかの日本酒だと酵母に頼りすぎているため芯が弱く、香りが消えてしまうものもあるんです。TAKANOMEだからこそ香りがきちんと残っているのでは。よりTAKANOMEの良さが際立っていると言えます」
さらにそれぞれの味わいの感想を聞いた。
「厳密に言うと、開栓後少し時間が経っているので酸化に少しずつ差がありますが『Diamond Fuji(ダイヤモンド富士)』のバランスがすごく良いと感じました。『Milky Way (天の川)』『 Edo no uzu(渦潮)』は、酸が落ち着いてあっさりとした印象。『Undersea Temple(海底神殿)』は酸味が、『Sea of Clouds(雲海)』は苦みが出ていますね。それは悪いことではなくて、ペアリングにすごく向いているということです」
TAKANOME海底熟成の意外なペアリングメニュー
ペアリングに向くという『Undersea Temple(海底神殿)』、『Sea of Clouds(雲海)』にあう食材を聞いたところ、「マンゴージュース」が合うのだという。
「それは決してカクテルのようにTAKANOMEに混ぜるのではなく、それぞれで味わって口内調味するということです。ごはんをかんでいると自然な甘みがでてくるのと同じですが、酵素分解の力が必要なんです。そうでないと、ペアリングとは言えないんですね。ただ、マンゴージュースは風味を合わせるという意味で、その場合はマンゴーの果実ではなく液体のほうがあわせやすいんです」
さらに、TAKANOME海底熟成とマンゴージュース、サラミなどの3種類であわせるのもおすすめだそう。
「サラミだけだと、苦みが際立っててしまうんですね。そこにマンゴージュースもあって、オリーブオイルや黒コショウなどのアクセントも加わったおつまみで、トリリングでの組み合わせも面白いと思います」。
それでは、『Milky Way (天の川)』『 Edo no uzu(渦潮)』はどうかと聞くと、
「若いフレッシュな印象があるので、火を入れたソースとか酢豚なんかは合いそう」とのことだ。
そもそもTAKANOMEは味のレイヤーが多いので、ペアリングに向いているそうで、料理に負けない味わいが魅力。その良さはそのまま海底熟成にも受け継がれているという。
丸みのあるグラスで香りも楽しんで
せっかくなら、さらに美味しく味わいたいと考えるところ。おすすめのグラスを聞いた。
「熟成酒ですが香り高いので、グラスは基本的には小ぶりで丸みのあるものがおすすめです」。
さらに、こだわるなら料理によってグラスを変えるのがいいのだそうだ。
「例えば酸味を効かせたいならシャンパングラスで。グラスの口が大きいものは複雑な味わいを感じやすく長いものは酸を感じやすいと覚えておくと考えやすいと思います」
結果がみえないのが熟成酒の魅力
最後に熟成酒の魅力を聞いた。
「結果がみえないということですね。正直に言うとTAKANOMEも、どうなるかわからない。瓶に入れる量や熟成の期間を少し変えるだけでも味わいが変わってきますから。また一般的にも現状は、熟成酒は紹興酒のような色がついて、香りが強くて…というイメージがありますが、そうではないんです。冷蔵でゆっくりと熟成しても褐色に色がかわるものもかわらないものもあり、そこが日本酒の面白いところです」
TAKANOMEも、もっと瓶で置いておけば、これからもっと面白みが出てくるのではと話す。
「どちらかというと純米で寝かして味を引き出す感じのお酒が多いので、これだけの香りがある熟成酒は珍しいです。あまり長く寝かすと香りが無くなるかもしれないですし、そうなったときにどんな味わいになるのか。やってみる価値はあると思いますね」
また、TAKANOMEだけでも、5種類の味わいがあることについてこんな話をしてくれた。
「今日は飲み比べて感想を言いましたが、そこに優劣をつけるわけではなく、それぞれの個性があってこのシチュエーションならこれ、と選べるようになるのがいいんです。僕の意見だけではなく、人それぞれの意見があるからこその嗜好品。日本酒にとっても多様性の時代です。そうじゃないと、日本酒の味が1つだけになってしまう。そんなつまらないことってないですから」
『TAKANOME 海底熟成』23年1月28日(土) より第二弾販売を実施
南伊豆のヒリゾ浜の海底に半年間、その後冷暗所で味を落ち着かせ、計2年間熟成させて誕生した『TAKANOME 海底熟成』。1/28(土)より第二弾の販売を実施いたします。
販売スケジュール
■第二弾:2023年1月28日(土) 10:00
販売商品・販売価格
・海底熟成 スペシャルセット ¥120,500円
・Sea of Clouds(雲海) ¥44,000
・Milky Way(天の川) ¥55,000
・Undersea Temple(海底神殿)¥60,000
■販売場所:TAKANOME 公式オンラインショップ
■アルコール度数:16%
■内容量:720ml
■製造元:はつもみぢ(山口県)
※全商品に「TAKANOME / 鷹ノ目 180ml」が付属いたします
※全商品「税・送料込み」になります
※数に限りがあるのでなくなり次第終了となります
販売に関する詳細は特設サイトをご覧ください。
鷹ノ目創業者 平野の「日本酒業界の熟成分野はまだ未開拓であるが、うまさの追求を考えたときに大きな可能性がある。」との想いからスタート。全ての生命の起源である「海」が吹き込んだ、味わいをご堪能ください。