「創造的逸脱」共鳴する2人から生み出されたコレクション TAKANOME代表・平野晟也 陶芸家・道川省三
TAKANOME代表・平野晟也は、創業から変わらず「日本酒を通して日本文化を発信する」という理念を持つ。今回、その想いが形になり、陶芸家・アーティストの「道川省三」とのコラボレーションコレクションを発表した。
また、コラボレーションに際し、TAKANOMEとしては初めてとなるエキシビションも表参道にて2022年9月30日より10月2日の3日間開催した。
コラボレーションした道川省三氏は、パリ・ミラノ・ニューヨーク・ロンドン、北京やマニラなど世界で活躍の場を広げる陶芸家・アーティスト。既存概念に捉われることなく飛躍し続ける2人の想いについて話を伺った。
文化の発展はライフスタイルの豊かさにつながる
――今回、道川さんとコラボレーションすることになった経緯をお聞かせください。
平野:道川さんの作品を初めて見たときに、第一印象として単純に自分自身が「ほしい」と思ったんです。陶芸をアートに昇華して世界的に活躍されている道川さんの活動も素晴らしいですし、そんな風に活動をされる人が増えていってほしいという思いもありました。たまたま静岡のイベントでお会いする機会があって、そこからご自宅や工房を訪れ交流を重ねるうちに、コラボをしましょうという話になりました。
道川氏:平野さんのお話を聞いて、日本酒の事業で得たものをアートへ還元していくという考えが素晴らしいなと感じました。自分たちだけが儲ければ良いというわけではなくて、循環していくという。日本酒と日本の文化という伝統的なものを組み合わせることも面白いと感じて、やってみよう、と。
――そもそも平野さんがそのように日本文化を広めたいと感じたのはなぜですか?
平野:海外へ行くと、かえって日本の文化の素晴らしさを実感することが多く、その魅力を発信したいという思いを持つようになりました。また、起業をしてからは年中働くような状況になり、だんだん人間性が失われてしまう感覚があって。でもアートを見たり音楽を聴いたりすると、豊かな気持ちになるんですね。文化に触れることが豊かさにつながっていくということを実感しています。日本の文化にかかわって、何かしら新しいものを生み出したい、貢献していきたいという思いが強くなっていきました。人間が人間らしく生きていける社会になってほしいと、いまは模索しているところです。
道川氏:僕も、ほぼ海外で活動しているのですが、海外では休みをしっかりと取って、仕事以外の時間がすごく大切にされていると感じますね。また、シカゴにいたときに、小さな子どもたちがアートギャラリーでわいわい騒いでいて、芸術に自然と関わる環境があると感じました。日本は、世界的に見ても長い歴史のある国です。その歴史で培われた文化は、絶対にほかの国には負けないので、どうやって広めていくのかが大切になってく。日本はすごくプレゼンテーションが下手だと感じています。アメリカはその辺が上手なんですよね。そういう意味でも、今回のように日本酒と陶芸のコラボをはじめ、今後平野さんがやっていくような取り組みはとても重要になってくると感じています。日本でも最初から世界を見据えていかないといけないんです。あとから釣り上げていくのは本当に難しいですから。
平野:最初から海外へ、というのは大事だなと思いますね。日本で頑張っていて、成果はある程度出るとは思いますが、それだけのポテンシャルがあるなら、国内だけではもったいない。道川さんは、世界中のギャラリーを周って、とても楽しそうに活動されているじゃないですか。創っている本人も楽しいというところもアートでは大切なのではと思います。
道川氏:海外ではいいものはどんどん評価されて、作品を気に入った人が広めていってくれます。日本だとそうはいかないんですよ。ある程度の自信とクオリティがあるなら絶対に世界に出て行ったほうがいい。
平野:食もそうですよね。アートだけでなくすべての産業がそうあるべきではないでしょうか。
――『日本酒』を通して文化を発信する理由はどこにあるのでしょうか。
平野:日本だけでも、食やアートといろんな文化があるなかで、どこで自分みたいな未経験の者が可能性を見出せるのか、考えながら探す中で、日本酒の魅力に気づいたんです。こんなにポテンシャルがあるのに、一方で世界ではまだ広まっていない、日本国内でも評価の軸がないというところで、日本酒の会社を立ち上げました。どちらかというと日本の文化を世界に発信したいというほうがベースにあったので、日本の文化のひとつとして、まずは日本酒を通して、世界の文化ともかかわっていくのもおもしろいと思っています。新しいことに挑戦しながら。自分たちのやっているところから影響を与えていきたいですね。
固定概念にとらわれない、二人の共通項
――今回は、TAKANOME初のエキシビションとなりました。エキシビションが始まったいまのお気持ちを聞かせてください。
道川氏:東京での展示は2013年以来9年ぶり。最近はほとんど海外だったので久しぶりでうれしいですね。普段はこういった食器は創らないのですが、TAKANOMEとのコラボということで、日本酒クーラーや酒器 を製作しました。
平野:道川さんとは昨年の12月ころから準備を進めて、1年近くかかりようやく開催に至りました。道川さんが多忙ななか、いつ開くかというところもそうですし、私たちもスタートアップで少人数のスタッフで協力し、集客方法も悩みながら完成したエキシビションです。多くの方に、作品を観ていただきたいですね。
――今回の作品のテーマについて改めて教えてください。
道川氏:展示会のタイトルに「創造的逸脱」とあるように、凝り固まった常識を、今までの概念と違う方向からアプローチできないかというところです。
平野氏:我々も「既成概念にとらわれない」ということを追求しています。これは、日本酒の流通でもそうで、我々は直接お客様と酒蔵をつなげていき、日本酒に新しい価値を見出しました。自らの考えから抜け出して客観的にものごとをみるというのが鷹ノ目という名前にも表れていますが、道川さんももともとその考えを実践されているので、そういったテーマに行きついた。両者の考えが究極体になって完成したコレクションではないかと思います。
――作品の見どころを教えてください。
平野:まず、酒クーラーは僕も購入したのですが、氷とTAKANOMEを入れてホームパーティで使っていただくのも良いと思います。造形がかっこいいので作品として単純にそのまま鑑賞するのもいいですね。道川さんは、普段酒器は作られないんですが、今回は特別に制作していただきました。道川さんのデザインにはモノを越えた価値があるんですね。機能的な価値だけではなく、美しさに感動してお酒をいれて飲むことでコミュニケーションのきっかけにもなる。それこそ文化、常識を超えた価値があるんです。アート資産としても今後価値があがっていくのではと思います。
道川氏:ろくろで作ると、普通は丸くなるんですが、升酒のイメージで四角や三角の形状の酒器を多く創りました。銀や粘土の状態を見ていただくと、どうやって作っているのかと特にプロの方ほどわからないのではないかと思います。またサイズはちょうど片手で持って収まるので、掌の中のオブジェという感じでもあります。とにかく、自己主張が強い作品です。1点ずつすべて違いますから、実際に手に取ってみていただくのが分かりやすいですね。
日本にとどまらず世界でアートイベントを
――最後に、平野さんから今後の展望をお聞かせください。
平野:やってみて初めてわかることがあるのを実感していますし、今回の経験をもとに、どう発展させていくかは考えているところです。また、ほかに準備しているアートのコラボイベントもあるのですが、単純な展示だけではなくさまざまな形式で皆さんを驚かせたいですね。世界のギャラリーでもなにかできればと思っています。
道川氏:実際にお酒をついで食事も出して…。世界のレストランで、そういったことをやるのも面白いと思いますよ。
平野:世界には日本の工芸品やアート作品を収集しているギャラリーもたくさんありますよね。
道川氏:あります。とにかく今、世界が日本ブームなんですよ。
平野:アニメやゲームなどのサブカルはすでに一般的ですよね。また、ラーメンなどのグルメも。ここからはハイカルチャーがもっとがんばってアートとか音楽、ファッションもどんどん広めていけるといいですよね。日本の美意識もグローバル化でより注目されているところ。その先鋒が道川さんで、それに続けと我々も進んでいきたいですね。
「常識に囚われず、革新を起こし続ける一流を訪れ、その哲学に触れる」というコンセプトのもと、独自取材を行うTAKANOME MAGAZINE。
TAKANOMEの哲学である『常識に囚われない「うまさ」のみの追求』という視点で一流の哲学を発信し、読む人たちの人生を豊かにすることを目指します。
TAKANOME
F1のレーシングカーを作るとき、コストを考えながら車を作ったりはしない。とにかく速さのみを求めてその時代の最高の車を作る。TAKANOME(鷹ノ目)の開発もいわばレーシングカーを作るかのようにとにかく「うまさ」のみを追求するとの信念のもと、幾度にも及ぶ試行錯誤の上で完成した、極上の日本酒。
<販売日>米作りからラベル貼りまで、全て「手作業」によって造っているため、生産量が限られています。ご迷惑をお掛けしますが、週に1度のみ(毎週水曜21時〜)数量限定で販売いたします。
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