千葉が誇る食材を徹底的に研究し、どこまでも味を突き詰める 千葉県・佐倉市「プレゼンテ スギ」

千葉が誇る食材を徹底的に研究し、どこまでも味を突き詰める 千葉県・佐倉市「プレゼンテ スギ」

千葉県佐倉市の郊外に、国内外の食通が愛してやまないレストランがある。
地元の食材をふんだんに用いた唯一無二の料理で多くの人を魅了する「プレゼンテ・スギ」だ。
並ぶのは、見るものを驚かせるアートのような一皿。この創造的でイマジナティブあふれる料理はいかに生み出されているのだろうか。
オーナーシェフ 杉岡憲敏(すぎおか・のりとし)氏に話を聞いた。

▲杉岡憲敏(すぎおか・のりとし) 調理専門学校卒業後、都内の有名店や、佐倉市「リストランテ カステッロ」で修業を積み、2016年「プレゼンテ・スギ」をオープン。「食べログアワード2021」では、シルバーを受賞。「ゴ・エ・ミヨ(Gault et Millau)2022」で3トックを獲得している。

 

今日より明日、進化し続ける店を目指して

 料理人を目指したのは、子どもの頃に「料理の鉄人」を見たことがきっかけだった。

「高級な食材が並んでいるのを見ておいしそうだな、料理人になればこんなすごいものが食べられるのかな、というとても単純な憧れの気持ちでした」

そこからは、料理人以外の道は考えずに調理の専門学校へ進んだ。
もともとパスタが好きで、イタリアンに興味があったが、料理人としては華やかなフランス料理を創りたいと思っていた。しかし、テレビで青山のイタリアン「エル・トゥーラ」で、イタリアンのコースを提供していると知り、フランス料理を超えるイタリアンが生み出せる可能性を感じた。

専門学校を卒業したばかりの人材の受け入れは行っていない店だったが、何度も通い頼み込んで働かせてもらうこととなった。その後も佐倉の「カステッロ」など有名店で研鑽を積み、6年前に自身の店を構えた。

コンセプトは“今”の自分を表現できるということ。「プレゼンテ」はイタリア語で現在という意味。スギは杉岡氏の名前からとった。

「昨日より今日、今日より明日と進化していきたいという想いを込めました。おいしいからこれでいい、というわけじゃなくてもっと上を目指していきたい」

 

食材の宝庫、佐倉という地だからこそ表現できる

 オープン当初は3800円程度のコース料理を提供していたがオープンして2年ほど経った頃に、常連客の一人に「これは本当にシェフがつくりたい料理なの?」と問われた。

「千葉にはたくさんいい食材があるから本当はもっと違うものをつくりたいと伝えると、『じゃあ貸し切りにするから金額も何も気にせずシェフの好きなものを作って』と言ってくださったんです」

それがきっかけで、自分が好きなものを出していいのだと気づいた。

山に行って、普通は雑草と言われるようなものを取ってきたり、自分で食べておいしいと感じたブラックバスを使ったりと、型にはまらない自由な発想ができるようになった。

 

▲「GV鰹(カツオ)」勝浦の新鮮な鰹にフランボワーズのスープをガストロバック(Gastrovac)という減圧調理器を使い浸透させたもの

いまや予約は半年先まで埋まっているというプレゼンテ・スギ。これほどの人気のあるレストランであれば、東京に店を構えるのが普通だと考えがちだが、この佐倉という場所だからこそ生み出せる味があるのだという。

東京で生まれた杉岡氏だが、小学生の頃、千葉へ引っ越した。そこで衝撃を受けたのがカブトムシを自分で捕まえられるという自然環境だった。東京ではカブトムシはお店で買うのが当たり前だったのだ。

「それと同じように、東京では手に入りにくい食材がここではそろうんです。例えば国産のトリュフもキノコハンターに頼めば手に入ります。小麦も無農薬の手摘みの麦が欲しいと思っても都内では難しい。佐倉なら、協力して作ってくださる農家の方もいます」

ほかにもアナグマやシカ、珍しいものではサルなど、良いものがあれば懇意にしている猟師から声がかかる。

▲コース料理の最初に出す乾杯フード「定点 トマト飴」。ガチャガチャで当たったおもちゃや海で拾った貝殻など子どもとの想い出の品で飾っている

 

メニューはコース料理のみ。定番品もあるが、仕入れ状況によってアドリブで料理を作るため、日によって出すものは変わる。

「いろんなものを味わっていただきたくて、つい品数が増えてしまうので妻に叱られます」

 

こだわりは料理だけではない。

金属は鉄の味がするので、ナイフやフォークなどはジルコニア製のものをオーダー。以前は既製品だったシルバートレイも、トイレットペーパーの芯で工作して見本をつくり、それをデザイナーに送ってオリジナルのものを制作した。グラスはスガハラガラスに理想の形状を相談したこちらもオリジナルだ。

それだけでなく女性の会話がはずむようにと、日本の女性の平均身長などから考えて、安心感のある椅子を家具店に相談しながら作った。


 また、新しい味が生み出される可能性があれば、最新の調理家電もほかのレストランよりもはやく取り入れるようにしている。

「なにかひとつでも手を抜くとお客様に見抜かれますから、すべてを突き詰めたいんです」

 ここまでこだわりを貫くのには千葉への熱い思いが秘められてる。

「世界に千葉の良さを発信したいんです。ミシュランをとりたい、と東京へ出てしまうレストランも多いのですが、星がすべてではないはずなんです。自分としてはここでずっとレストランを続けたいですね」

プレゼンテ・スギで味わえる、TAKANOMEとの至高ペアリング

 プレゼンテ・スギではTAKANOMEの提供も行っている。

「常連のお客様からTAKANOMEのことを聞いて知りました。初めて味わったときに、想像以上にきれいな味と香りで、すぐに蕎麦と合わせたいなと思いました」

▲からすみそばの器は、自身の手をかたどって作ったもの。「まぼろしのそば」とも言われる千葉在来を使った、メニューには載っていない逸品

そう語る通り、TAKANOMEと合わせて出すのは、イタリアのからすみのパスタをイメージしたからすみそば。からすみもボラやスズキなど自分で釣った魚を使い、手作りしている。

「イタリアでもからすみをよく使うのですが、日本酒のほうが絶対に相性がいいと思っています。白ワインで合わせるお店も多いですが、えぐみが際立ってしまうことがあります。TAKANOMEは逆に料理の香りも引き立ててくれるんです」

まるで研究者かのように、ひとつひとつを追究する杉岡氏。この千葉県佐倉の地がプレゼンテ・スギの名を通して世界に知られる日もそう遠くないと感じた。

プレゼンテ スギ(PRESENTE Sugi)
住所:千葉県佐倉市白銀2-3-6
時間:11:30~14:30(L.O.14:00) 、18:00~22:00(L.O.21:30) 
定休日:月曜日、火曜日
TEL:043-371-1069
インスタグラム

 

 

 F1のレーシングカーを作るとき、コストを考えながら車を作ったりはしない。とにかく速さのみを求めてその時代の最高の車を作る。TAKANOME(鷹ノ目)の開発もいわばレーシングカーを作るかのようにとにかく「うまさ」のみを追求するとの信念のもと、幾度にも及ぶ試行錯誤の上で完成した、極上の日本酒。

<販売日>米作りからラベル貼りまで、全て「手作業」によって造っているため、生産量が限られています。ご迷惑をお掛けしますが、週に1度のみ(毎週水曜21時〜)数量限定で販売いたします。

飲む前に知って欲しい、鷹ノ目開発ストーリーはこちら
鷹ノ目の購入はこちら

Text:Mihoko Matsui
Photo:Masaru Miura
Structure: Sachika Nagakane

 

 

 

関連記事

「打つ。時を打つ。」銅板に命を吹き込む玉川堂の精神 玉川堂・山田 立氏
「打つ。時を打つ。」銅板に命を吹き込む玉川堂の精神 玉川堂・山田 立氏
伝統工芸を絶やさないためには、その魅力を世に伝えていくことも課題となる。 1816年の創業以来、約200年にわたり鎚起(ついき)銅器を継承する『玉川堂』。鎚起銅器とは、1枚の銅板をたたきながら、形づくっていく技術で、文化庁と新潟県より...
守るための変革。加賀友禅に新風を巻き起こす 太田正伸氏
守るための変革。加賀友禅に新風を巻き起こす 太田正伸氏
常識に囚われず、革新を起こし続けてきた一流たちのスピリットを発信し、さらなる『文化の発展に貢献したい』との思いで情報を発信するTAKANOME MAGAZINE。  石川県を中心に生産されている加賀友禅。一般には着物に用いられるが、ス...
セレブが認める出張シェフ・澤田浩志氏に教わるレシピ、日本酒『鷹ノ目』に合う「鶏肉のコンフィ」
セレブが認める出張シェフ・澤田浩志氏に教わるレシピ、日本酒『鷹ノ目』に合う「鶏肉のコンフィ」
『TAKANOME(鷹ノ目)』を飲む瞬間の空間を演出し、味わいを高めあうペアリング料理。一流シェフである澤田浩志氏に、見た目は華やかながら、家庭でも簡単にできるレシピを教わった。  澤田氏は数々の有名ホテル、レストランで経験を積み...
まるで生き物のように。そばに佇む漆芸 中田真裕氏
まるで生き物のように。そばに佇む漆芸 中田真裕氏
常識に囚われず、革新を起こし続けてきた一流たちのスピリットを発信し、さらなる『文化の発展に貢献したい』との思いで情報を発信するTAKANOME MAGAZINE。 今回は、漆芸の作品で世界的にも認められている中田真裕氏のアトリエを訪れ...