さらなる『うまさ』を求めて鷹ノ目は生まれ変わりました。
こんにちは。
株式会社Forbulの平野です。
本日このようなプレスリリースを配信しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000037523.html
2019年10月に販売を開始以降、SNSを中心に口コミが広がり急成長を続けるを鷹ノ目を今回、さらなる『うまさ』の追求という信念から、リニューアルを実施しました。
この記事では、リニューアルの背景や、構想から1年ほどかかった理由などを記事として皆様にお伝えできればと思います。
リニューアル変更点は以下の内容です。
- 名前: 鷹ノ目(ホークアイ)→TAKANOME(鷹ノ目)
- デザイン:ラベル、ロゴ、パッケージ
- 味わい:うまさの定義と基準の引き上げ
- 価格: 13200円→15400円
- 哲学
絶好調の中でのリニューアルを決意
『リニューアルをしよう!』
このリニューアルの構想が社内に出たのは、ほぼ1年前の2020年6月頃だった。
当時、鷹ノ目は販売開始以降、ありがたいことに、SNSを中心に口コミが広がり、即完売が続いていた。(今でも続いています。すみません。)
毎月の販売本数は、右肩上がりで伸び、まるで、鷹が飛ぶ鳥を落とす勢いで飛んでいくような感覚は圧巻であったが、僕らは何故だが満足していなかった。
その訳はこの驚くほど人気になった鷹ノ目の開発の背景にある。
創業から開発の記録『日本酒の魅力を多くの人に届ける』との思いを持って僕は会社を創業し、日本酒の定期購入サービスや、日本酒メディア、イベント、居酒屋など勢いよく事業を連続して立ち上げたが、どれも継続的な売上が上がらず、全て途中で断念した。創業当時は700万円ほどあった資金も、たったの1年半で残り100万円を切っていた。『どうしたらいいんだ』日に日に減っていく銀行残高を見ながら、無我夢中で走り続けていたのを覚えている。当時、もし会社の資金が無くなったら、オーストラリアにでも行って、時給のいいバイトで、借金を返そうとまで覚悟を決めていた。笑ついに、次の事業が最後となったとき、僕は大きな決断をする。「最後は自分が本当に作りたいものを作ろう。」この背水の陣の覚悟が、価格、価値軸や流通などに新たな革新をもたらした既成概念に囚われない『うまさ』のみを追求する鷹ノ目の開発の原動力となった。さらに詳しい開発の背景はこちらの記事から
ここまでが鷹ノ目の開発の背景だが、この話にはまだ続きがある。
お酒を1タンク作るのもかなりの資金と時間がかかる。しかし、僕らはとにかく『うまさ』のみ追求という信念でやっている以上、何度も試作を繰り返し、この部分はどれだけお金がかかろうと譲らなかった。
問題は、その周りの部分である。
とにかく資金に困っていた僕は、銀行からも相手にされず、ついには友人からお金を借り、その資金で、ラベル、パッケージ、HPなどを作り込んだ。半分くらいは自ら手を動かして、今では驚く程、低予算で作っていった。
リリース以降、多くの方々に味わい以外にもデザインまで反響の声をもらっており、心からホッとしたが、さらなる改善の必要性を感じていた。
なぜなら、僕らにとっての『うまさ』の定義は、五感で感じる味わいだからだ。その五感とは、徹底的にこだわり抜く味わいはもちろん、その場の空間、料理とのペアリング、人と繋がりなど、お酒の中身とお酒の周りにある全ての要素が、『うまさ』として人に伝わるから。
これまでの鷹ノ目はこの部分の全体設計がまだまだ不十分だと感じていた。
僕らは、この鷹ノ目を飲む瞬間が本当に人生の記憶に残る体験を提供したいと本気で考えている。おそらく、お客様もそのぐらいの期待を持って、鷹ノ目を購入してくれているはず。
だからこそ、今回のリニューアルは必要不可欠だった。
文化で世界に誇れる日本に
僕らは、まずリニューアルにあたって、会社のビジョンから設計し直した。その中で明確に決まったのは、『文化で世界に誇れる日本』にしたいということ。
これは、戦後から高度経済成長期にかけて、文明で世界に誇れる日本になり、『文明の進展』が経済を引っ張ってきたのだが、現在の低成長社会の中で、今後、日本は文化で豊かな国を目指し、人間が人間らしい生活を送り、そしてその文化が経済を引っ張るような国になることが日本の次なる進むべき道だと考えたからだ。
『モノ→コト→ココロ』という言葉が代表されるように、現代の先進国においての社会問題は人間の心に移ってきているように見える。そういった中で必要とされるのは、人にパワーを与えたり、人の心を癒したり、生きる楽しさを与える文化的な物やサービスだと思う。
このような社会の変化の中で、『日本のものづくり』や僕らが日本文化の結晶と捉えている日本酒は大変大きなポテンシャルを秘めており、日本の長い歴史の積み重ねによる他にはない資産であると思う。だからこそ、現代にアップデートさせ、広めていくことは大変意義がある考えている。
日本を代表する日本酒をつくる
このようなビジョンを設定した僕らは、鷹ノ目でやるべき次なる目標を考えた。
いろいろと模索する中で、まずものづくりにおいて模範となるモデルを作り上げることが重要だと考えた。それは当たり前だが、どれだけ『文化が豊かな国になろう!』と叫んだところで、社会は変わらないから。
変化を生み出すには、自らがまず動き、そしてその動きに共感してもらえたり、憧れてもらえたり。また資本主義においてビジネスとして成功することも、大きな流れ生み出すことにつながる。
だからこそ、僕らが目指すのは、日本酒をかっこよくし、また事業の一つとしても成功させること。そういう思いで、鷹ノ目の目標として『日本を代表する日本酒』になると目標を立てた。
我が子を預けるデザイナー選びに苦戦
会社と鷹ノ目の目標が決まると、次はデザイナーを探し始めた。
しかし、これがこんなにも大変なことだとは思わなかった。
デザイナーに仕事を依頼するといっても、まず、素人がどのように、そして誰に依頼するか?がわからない。個人でやっている人もいれば、小さな会社、大きな会社まである。
まるで、我が子にように育ててきた鷹ノ目を見知らぬ他人預け、数ヶ月の間、面倒をみてもらうような感覚だった。
慎重に吟味し、ようやくデザイナーを選んだが、3ヶ月の時間を経過したのち、途中で双方の意見と、価値観が合わず、途中で破断となった。
このあたりは、経験や知識不足が不利にでる。またいかにして、デザイナーに依頼するかなどの情報がとにかく少ない。だからこそ、僕らにとってこれは大きな経験となった。相手方にはいろいろと迷惑をかけてしまったと反省している。
6月ごろに始めたリニューアル構想もすでに、4ヶ月が経過し10月になっていた。
その後、またデザイナー探しを始めた僕らは、数十ある会社から僕らの価値感に合いそうな会社を絞り始め、最終的に3社ほど残った。
何度にも及ぶ打ち合わせを重ね、最後に決めたのが、デザインに対して驚くほど深い思想で表面的なデザインではなく、物事の真理の追求や、日本独自の美意識といった考えをベースに、経営学からリベラルアーツにような幅広い視点でデザインを実施するデザイン集団のBEES&HONEYを選んだ。
時期としては、2020年の11月頃だったと思う。それから、スムーズにリニューアルが進むかと思いきや、これもまた思い違いだった。
なぜなら、普通リブランディング やリニューアルとは、売上が落ちてきている商品などを復活させるためにアップデートさせるのが一般的だが、僕らは鷹ノ目が絶好調の中でのリニューアルだったから、変える部分と変えない部分の見極めが難しく、また、僕自身も不安と迷いがあった。
『もし、失敗して、今の人気が落ちたらどうしよう。』
会社が潰れる間際のどん底から這い上がってきたからこそ、その恐さがあった。
そのため、一つ一つの意思決定にブレが生じ、時間がかかった。
もう、創業当時のオンボロの倉庫に住んでいた生活には戻りたくない。こういった人間のリアル感情と向き合いながら、リニューアル進めていった。
↑の写真は、創業当時の1年近く1人で住んでいた倉庫。シャワーはなく、水道で頭を洗い、真冬は凍えるような寒さから、テントを倉庫の中に張って寝ていた。
リニューアルデザインのコンセプト『Fusion(融合)』
鷹ノ目は、販売開始以降、革新的な日本酒として大変多くのお客様に支持をいただいた。
しかし、その革新性だけでは、本当の意味での『日本を代表する日本酒』にはなれない。いつの間にか消え去ってしまうブランドになるだろう。
重要なのは、美しい日本文化を敬い、過去の先人たちの歩み、伝統の本質を理解した文脈の中での『革新』というものが重要であり、それを意識することが、まるで鷹の目のように、長期的でより高い視点で本質的な日本酒ブランドを築けるのではないか?このように考えた。
この思想のもと、伝統的な和の世界観を現代フィットする形で体現した新デザイン一新。過剰に飾るようなラグジュアリー ではなく、余白のある上品さにより、人々の心に穏やかで、記憶に残る時間を生みだすように全体設計を構築した。
このデザインがようやく決まったのが、今年の2月末くらいだったと思う。
ここから、ラベルの素材選びや、箱の素材など、デザイナーの方々と作っていくのだが、やはりここでもかなりの時間を要した。ただ、彼らの細部までこだわる徹底した美意識には驚くばかりで、私にとってはクリエティブのプロフェッショナルと方と一緒に働けた時間は、変えがたい学びになった。
味わいの基準の引き上げ
今回のリニューアルの重要な点として、味わいの基準を引き上げたことである。
日本酒の他の食料品と違い、レシピは一緒でも、毎回同じ味わいを作りだすのがかなり難しい。例えば、ワインなどは同じ製法でもブドウの品質によって、価格や評価が大きく変わる。
しかし、日本酒の場合、品質に違いがあっても、価格や評価の差があるわけではない。品質が違うのに同じお酒として販売するのは、おかしいと感じている。
特に、鷹ノ目は多く部分を職人の手作りによる製造を行っているため、毎回同じ品質を保つことが得意ではない。しかし、その一方で、時に職人が驚くような味わいを生むことがあり、今回、鷹ノ目として販売する品質の基準を引き上げ、僕らが認めるウマイ日本酒のみ販売するような仕組みを構築した。
価格の変更
価格の変更に関しては、最後の最後まで悩んだ点だ。
13200円→15400円への引き上げは、最低限の引き上げなので、ファンの皆さまには許していただきたい。
理由としては、まず一つが味わいの基準を引き揚げたことで、さらにでコストがかかってしまう点だ。本当にいいものを作るには、お金がかかってしまう。
もう一点が、ぼくらにとって、『うまさ』とは全体設計のバランスが取れたうえで、本物が本物として人に伝わる。だから、今回の一新したデザインによって、ラベル品質、パッケージのコストが上がることが2点目の理由だ。
ようやく完成したTAKANOME
5月はじめにようやく、リニューアルしたTAKANOMEをリリースできる準備が整い、5/26が最後の前・鷹ノ目の販売が終了した。
これまでの人気が終わってしまうかもしれないという、怖さの中でのリニューアルだったが、結果としては、大変満足のいくデザインが完成し、僕らが目標とする『日本を代表する日本酒』になるという目標に向けて、幸先のいいスタートが切れそうな予感がする。
今後の鷹ノ目の展望としては、様々な分野の人とコラボレーションを実施したり、飲食店やホテルなどと一緒に企画を組み、TAKANOMEを価値を最大限引き出せる企画や、文化・芸術を支援し、僕らのビジョンである『文化で世界に誇れる日本』の実現に向けて努力していきたい。
この1年、多くのことが初めてで、関わってもらったみなさんには僕自身のまだまだ未熟な部分で迷惑をかけてしまうことも多々あったが、最後まで付き合ってくれてありがとうございました。
今後、会社としてさらなる成長を目指し、これまで2,3人の仲間と個人プレーでごりごりやってきたところから、人数が増え、チームプレーになっていくターニングポイントなると思う。
僕らにとって、第二創業期とも言えるかもしれない。
ただ、今後、会社がどれだけ変化しようが、会社の根幹に置く哲学や美意識といった、非論理性の高い物事を大事にし、磨き続けたいと考えている。
仕事や事業というのは、単にお金を稼ぐ以上に、次なる社会を作りだす、人々の猛烈な社会活動だと思う。だからこそ、ホンダの創業者 本田宗一郎が語ったように「理念なき行動は凶器であり、 行動なき理念は無価値である」という言葉がまさに腑に落ちていて、僕らもこの視点を事業の中心に置き、努力してくつもりだ。
起業をしてから毎日が心休まらない日々の連続で疲れることもあるが、人生において、信頼できる仲間と共に、これほど熱中し、多くの時間を費やせることができていることに今は喜びを感じている。
鷹は空高く飛ぶ。
今後とも新 TAKANOMEをよろしくお願いします。